育児しながら自分のことも大切にしたい。それだけなのに、なぜこんなに難しいのか

なつみのコラム

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「自分のことも大切にしたい」

こんなに当たり前のことが、こんなに難しいとは思わなかった。

2人の子どもを育てながら、毎日誰かのために動き続けている。朝から夜まで、子どものこと・家事のこと・夫のこと。気づいたら一日が終わっている。「自分のために何をしたか」を問われたら、答えられない日がほとんどだ。

38歳になった今も、「自分を大切にする」ことへの罪悪感が完全にはなくならない。エステに行く日も、好きな本を読む時間も、美味しいコーヒーを一人でゆっくり飲む時間も、どこかで「これでいいのか」という声が頭の中に残っている。

今日は、その「難しさ」の正体を正直に書く。

育児が始まってから、「自分の時間」が消えた

子どもが生まれる前の私は、自分のことをそれなりに大切にしていた。

週に一度はゆっくりお風呂に入った。気になるカフェに一人で行った。本を読んで、映画を見て、たまには友人と夜ご飯を食べた。「自分の時間」を持つことへの罪悪感は、ほとんどなかった。

第一子が生まれた瞬間から、それが変わった。

新生児のころは当然、自分の時間などない。赤ちゃんが泣けば動く。お腹が空けば授乳する。眠れるときに眠る。自分の欲求は後回しにすることが当たり前になった。

それが1年、2年と続いた。第二子が生まれてからは、さらに余裕がなくなった。上の子の世話をしながら下の子に授乳する。二人同時に泣いているとき、自分の感情を処理している暇などない。

気づいたら、「自分のために何かをする」という感覚自体が薄れていた。疲れていても「休みたい」と言い出せない。やりたいことがあっても「今じゃない」と後回しにする。それが何年も続いた。

「いいお母さん」像が、自分を縛っていた

なぜ自分を後回しにすることが当たり前になったのか。しばらく考えて、一つの答えにたどり着いた。

「いいお母さんは自分を犠牲にするものだ」という思い込みが、どこかにあった。

子どもを優先することが愛情の証明だと、無意識に思っていた。自分のことを後回しにすることが「ちゃんとした母親」の条件だと、どこかで信じていた。

その思い込みがどこから来たのかは正直わからない。自分の母親を見て育った影響かもしれない。SNSで見かける「子どもファースト」という価値観の影響かもしれない。社会全体が「母親は犠牲になるべきだ」という空気を持っているように感じることもある。

でも考えてみると、この思い込みはおかしい。

自分を大切にすることと、子どもを大切にすることは、本来矛盾しない。むしろ、自分が満たされていない状態で子どもに向き合うより、自分が少し余裕を持った状態で向き合う方が、子どもにとってもいいはずだ。

頭ではわかっている。でも感情はなかなかついてこない。「自分のためにお金を使った」「自分のために時間を使った」という事実が、罪悪感として残り続ける。

「自分を後回しにすること」のコスト

自分を後回しにし続けた結果、私に何が起きたか。正直に書く。

慢性的な疲れが取れなくなった。

毎朝起きるたびに、すでに疲れている感覚がある。昨日の疲れが翌朝に残っている。睡眠が足りていないこともあるが、それだけではないと感じていた。体の疲れというより、心の疲れが抜けていない感覚だった。

些細なことでイライラしやすくなった。

子どもがコップを倒した。靴下を逆に履いた。夫が洗い物を放置した。以前なら笑って流せたことに、反応してしまう日が増えた。怒った後に「こんなことで怒るべきじゃなかった」と自己嫌悪になる。その繰り返しだった。

自分のことが嫌いになっていった。

鏡を見てため息をつく。体型が気になる。でも何もできない。何もできない自分に、また落ち込む。「いつかやろう」と思いながら何年も経つ。やれない自分への失望が、じわじわと積み重なっていった。

自分を後回しにすることにはコストがある。そのコストは、疲れやイライラや自己嫌悪として、毎日少しずつ積み重なっていく。そしてそれが、子どもへの接し方にも影響していた。

転機になった、夫との会話

ある夜、子どもたちが寝てから夫と話したとき、こんなことを言われた。

「最近、余裕なさそうだけど大丈夫?」

反射的に「大丈夫」と答えようとして、止まった。

大丈夫じゃなかった。疲れていた。余裕がなかった。でも「大丈夫じゃない」と言うことすら、どこかで「弱音を吐いている」「頑張りが足りない」と感じていた。

しばらく黙っていたら、夫が続けた。「もう少し自分のことやってもいいんじゃない?子どもたちのことはなんとかするから」

その言葉で、泣いてしまった。

「自分のことをやっていい」と言われたことが、これほど響くとは思わなかった。許可してもらったことで、初めて「そうしていいんだ」と思えた。誰かに許可してもらわないと、自分を大切にすることに踏み出せなかった自分が、情けなくもあり、でも正直だとも思った。

エステという「自分のための時間」を作ってみた

夫との会話から数週間後、痩身エステの体験コースを予約した。

産後から体型が気になっていたこともあったが、それより「自分だけのための時間を1時間持つ」ということを試してみたかった。

実際に行ってみると、施術台に横になって、外の音が遠くなって、誰かのことを考えなくていい時間が始まった。子どものこと、夫のこと、家事のこと。いつも頭の中を占めているものが、その1時間だけ静かになった。

施術が終わって帰る道、気持ちが軽かった。体だけでなく、頭の中も軽かった。「自分のために時間を使えた」という感覚が、予想以上に大きかった。

その夜、子どもたちとの時間が、いつもより穏やかだった気がした。怒りのハードルが少し上がっていた。余裕があると、こんなに違うのかと驚いた。

エステに通うことで、「自分のための時間を持つ」という習慣が少しずつできてきた。月に数回、エステに行く日を「自分の日」として確保するようになった。その日は家事を少し後回しにしていい。それだけでいい。

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「難しい」理由が、少しわかってきた

育児しながら自分を大切にすることがなぜ難しいのか。経験を通じて、いくつかの理由が見えてきた。

「自分を後回しにすること」が習慣化されているから。

産後から何年も、自分を後回しにすることが当たり前になっていた。習慣は意識しないと変えられない。「自分を大切にしよう」と決意するだけでは変わらない。具体的に「この時間は自分のもの」と確保する行動がないと、また後回しに戻っていく。

罪悪感が先に来るから。

「自分のことをしよう」と思ったとき、やる前から罪悪感が来る。「これをしている間、子どもは?」「夫に申し訳ない」という気持ちが、行動する前に出てくる。罪悪感を感じながら自分のことをするのは疲れる。だからやらなくなる。

「まとまった時間」がないと無理だと思っているから。

以前の私は「自分のための時間=まとまった自由な時間」だと思っていた。そんな時間は育児中にはほとんどない。でも実際には、15分でも、30分でも、意識して「自分のための時間」にできる。コーヒーを丁寧に淹れる5分でも、一人でシャワーを浴びる15分でも、それは「自分のための時間」だ。

「結果が出ないと意味がない」と思っているから。

「自分のためにエステに行っても、痩せなければ意味がない」「運動しても体型が変わらなければ意味がない」という考え方が、以前はあった。でも今は違う。エステに行って体が軽くなる・気持ちが整う・「自分のための時間を持てた」という感覚だけでも、十分な意味がある。

「自分を大切にすること」を、少しずつ練習している

今の私は、「自分を大切にすること」を少しずつ練習している。完璧にはできていない。でも以前よりは、少しずつうまくなってきた気がしている。

エステに行く日は「自分の日」として確保する。その日は家事を完璧にしなくていい。夕食が簡単なものでも許す。

子どもが保育園に行っている昼間、一日に一度だけ「自分のための時間」を作る。好きな音楽をかけながらコーヒーを飲む15分でもいい。

「やりたいこと」を小さくてもいいから、一日一つはやる。読みたかったページを3ページ読む。気になっていたレシピを一品試す。ドラマの録画を20分だけ見る。

「ありがとう」と「疲れた」を、夫に言えるようにする。以前は「大丈夫」で全部終わらせていたが、正直に言うことで夫が動いてくれることもある。

どれも小さなことだ。でも小さなことの積み重ねが、少しずつ「自分を後回しにしない」という習慣になってきた気がしている。

完璧じゃなくていい、という話

このコラムを書きながら、一つ正直に告白する。

今日も、自分を後回しにした場面があった。

昼ごはんを食べ損ねた。子どもが帰ってきてからバタバタして、夜になってようやく何かを口に入れた。「一人の時間」を作ろうと思っていたが、宿題を見ていたら夜になっていた。エステの予約を入れようと思っていたが、「来週にしよう」と後回しにした。

完璧にはできない。それが育児中の現実だ。

でも以前と違うのは、「また後回しにしてしまった」と落ち込むだけで終わらなくなったことだ。「今日は後回しになった。明日は一つだけやってみよう」と、次につなげられるようになった。

「育児しながら自分を大切にすること」は、一気に達成するものではなく、毎日少しずつ練習していくものだと今は思っている。完璧にできる日なんて、たぶんいつまでも来ない。でも「少しだけ自分を大切にできた日」を積み重ねていくことが、長い目で見れば確実に変わっていく道だと信じている。

同じように感じているママへ

このコラムを読んでいる方の中に、「自分のことを後回しにし続けている」「自分を大切にしたいのに罪悪感がある」という方がいたら、一つだけ伝えたいことがある。

あなたが自分を大切にすることは、わがままじゃない。

毎日誰かのために動き続けているあなたが、少しだけ自分のための時間を持つことは、サボりでも逃げでも贅沢でもない。

「自分が満たされること」は「家族を大切にすること」と矛盾しない。むしろつながっている。余裕のある自分でいることが、子どもへの優しさにも、夫婦関係にも、返ってくる。

難しいのは当たり前だ。一人でなんとかしようとしなくていい。夫に頼んでもいい、親に頼んでもいい、プロに頼んでもいい。「自分のための時間」を作る方法は、一つじゃない。

まず小さな一歩を踏み出してみてほしい。エステの体験コースでも、好きなコーヒーを一人でゆっくり飲む15分でも。「自分のために何かをした」という感覚が、少しずつ「自分を大切にしていい」という感覚に変わっていく。

少なくとも、私はそうだった。

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